スイスドロー大会 運営の手順

※この記事は、前回のスイスドロー大会運営レポート記事から、大会を実際に開く手順の項のみを抜き出したものです。

 

  • 使用ツール①:Challonge(スイスドローの組み合わせ&結果自動生成)
  • 使用ツール②:Youtube (点呼・決勝配信)
  • 使用ツール③:Discord(組み合わせ画像共有、戦績報告など)

組み合わせ作成ツールの用意

 スイスドロー方式は組み合わせの決定や順位の付き方が複雑なので、自動で組み合わせと順位を算出してくれるツールが必要となる。

 例としてはsmash.ggChallongeなどがあるが、今回はChallongeを使用した。おそらく個人開催の大会ならChallongeが手軽なのでお勧めしたい。

 

対戦台の配置の決定・通知

 一斉に試合を行い、参加者に報告してもらうことになるので、一人ひとりの参加者にしっかり席の配置や報告方法を理解してもらう必要がある。

 例えば、Challongeを用いた場合、組み合わせの一つ一つに連番が振られるので、その連番に対応した対戦台をあらかじめDiscordで周知した。

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対戦台が一列に並んでいる配置が非常にわかりやすく助かった。

 このとき注意すべきなのがChallongeの組み合わせ番号は二試合目以降も加算されていくということだ。参加人数によっては2、3試合目で対戦台の番号を超えてしまうだろう。

 なので今回の大会では3試合目以降は、組み合わせの一番左上を1番として自分の座席を計算してほしいと案内した。参加者の皆さんはこちらが特に補助などせずともしっかり座席について各自対戦を始めてくれた。協力ありがとう。


戦績報告方法の決定・通知

 試合が終わった後は戦績を報告してもらう必要があるので、その方法も参加者に周知しておく必要がある。

 今回はDiscordに戦績報告チャンネルを用意し、そこに勝者が報告する、とした。

 この時注意したいのが、運営側の手間を考えれば、Challongeなどのツールに直接書き込んでもらいたくなるが、それは避けたほうがいいということだ。

 使用ツールが増えることで参加者の負担が増えるし、操作ミス、報告ミスなどのトラブルが起きる可能性が上がるためだ。

 Discordや配信コメントなどで文章で報告してもらい、運営がツールに打ち込む、とするのがいいだろう。その際、参加者の方が戸惑わないような配慮があるとなおいい(※参加者アンケートで、配信がyoutubeで報告がdiscordと分かれていて戸惑ったというご意見を頂いた)

 

当日の動き

 これについては、実際に運営している様子を見てもらうのが早いだろう。しかし、配信が限定公開だったこと、大会に参加したり配信に載ったりすることに慣れていない参加者が多いことを踏まえ、ここでの掲載は避けたい。

 運営の参考にしたい、などという方は筆者まで連絡してくれれば、urlをお渡しするので、気軽に連絡してほしい。

 

自分も大会運営してみようかな?という方へ

  特にスイスドローではDiscordがあると便利だと思うので、筆者が運営するDiscordサーバーで開いてみるのをお勧めしたい。

 

 

 

 現在加入者は2000名を超えているので、多くの人に参加してほしい人におすすめだ。

 中には大会用のカテゴリー・チャンネルを作ったので、自由に使ってほしい。

 もちろん、声をかけてくれれば運営にも協力するし、チャンネルの作成や告知なども、タイミングや内容など言ってくれればいくらでも協力させて頂きます。

 

 スイスドロー大会、実際やってみるとびっくりするほど負担は軽かったので、大会運用に興味ある人はぜひやってみて欲しい。

 

 以上、かなりの長文になったが、ここまで読んでくれた人本当にありがとう。

 データ提供など協力してくれたMatchingCarnivalの皆さんもありがとう。

 スイスドロー式大会、普及したらいいなぁ~。

スイスドロー方式での格ゲーオンライン大会開催レポート

はじめに

 4月12日に、筆者が運営するDiscordサーバー「GBVSゲームセンター」にて、Bランク以下限定としてスイスドロー方式の大会を行った。

 

 従来の格闘ゲーム大会は、そのほとんどがシングルもしくはダブルイリミネーションの勝ち抜きトーナメント方式であった。大会といえば勝ち抜きトーナメント、という認識もあると思うし、納得である。

 

 しかし、オンライン大会においては、配信・運営の参加者呼び出しの負担ルーム出入りにかかる時間が大きいことや、参加者にとってもそれらの要因から待ち時間が長くなり、「長時間待機したのに一回戦で負けて終わってしまいしょんぼり…」という気分を味わう人が多く発生することなどが、個人的に気になっている部分だった(後者はオンラインに限らないが…)。

 勝ち抜き方式におけるこれらへの対処としては、時間については、単純に対戦(配信)台の数を増やす、運営の人数を増やす…という方法があると思うが、それができる状況ばかりでもないだろう。

 そして、一回戦負けへの配慮としては、ダブルイリミネーション方式があるが、これは、運営負担と大会時間が一気に跳ね上がるため、少なくとも個人開催においては、現実的とは言い難い

 

 そこで、そういった問題を解決できるのではないか、と思って今回筆者が導入してみたのが、TCG・DCG界隈でよく使われる、スイスドロー方式だ。

 

 実際にやってみたところ、詳細については後述するが運営の負担はかなり軽い

 参加者にとっても、勝敗に限らず試合数が保証されるし、実力の近い人とマッチしやすいので、実力に関わらず楽しみやすいと思う。

 他にもメリットが大きいと感じたので、格ゲーのオンライン大会を開いてみたいという人は、できれば最後まで読んでみて欲しい。

 当然デメリットもあり、絶対スイスのほうがいいよ!!と言いたいわけでもないので、そこも理解してほしい。

 

 

スイスドロー方式とは?

スイスドローの詳細については、こちらをご参考頂きたい。

https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%BC

 

ざっくりと説明すると、

 

1戦目はランダムにマッチングを行い、

2戦目は勝者同士・敗者同士でマッチング

3戦目は2-0同士、1-1同士、0-2同士で…

という具合でマッチングしていき、全勝者が一人になるまで繰り返し、

全勝者が一人になったら、勝敗数や得失点差から2位以下の順位を計算する。

 

というもの。

20~30人の参加者なら大体一人当たり4~5試合程度で終わる。 

 

今回の大会では、5試合行ったのち、上位数名で決勝勝ち抜きトーナメントを行い、勝利した人が優勝とした。

 

今回の大会の概要

  • 形式:スイスドロー → 上位数名による決勝勝ち抜きトーナメント
  • 参加者:25名(決勝トーナメント5名)
  • 運営スタッフ:1名
  • 開催時間:約2時間(うちスイスドローは1時間半)
  • 試合形式:2先
  • 合計試合数:60試合 + 決勝4試合(2先1セットを1試合とする) 
  • 開催場所:オンラインロビー(決勝トーナメントはプレイヤーマッチ)
  • 使用ツール①:Challonge(スイスドローの組み合わせ&結果自動生成)
  • 使用ツール②:Youtube (点呼・決勝配信)
  • 使用ツール③:Discord(組み合わせ画像共有、戦績報告など)

 

 スイスドローは組み合わせや順位の計算が難しいが、Challongeのトーナメント形式でスイスを選択すれば自動でやってくれるので非常に助かった。 

 

勝ち抜きトーナメント方式との比較

 同じ参加者・運営人数で、 勝ち抜きトーナメントを行った場合どれぐらい時間がかかるか、ということを経験者に聞いたところ、試合数は24試合で、約3時間程度になるだろう、ということだった(あくまで予想)。

 

 まず、時間については勝ち抜きトーナメントの予想に比べ1時間ほど短縮できているが、これはオンラインロビーを用いて一斉に試合したことが要因だろう。

 勝ち抜き方式でも一回戦はオンラインロビーで一斉に行うなどすれば、一気に時間短縮になり、スイスドローよりも圧倒的に短くなるはずだ(それをやらない人が多い理由については後述)

 なので、時間の違いは大会形式の違いによるものではないとし、ここではスルーしよう。

参加者一人当たりの試合数の違い

 そして、個人的に注目してほしいのが、試合数だ。単純な数字を比較すれば、勝ち抜きの2.5倍の試合数をこなしていることがわかる。さらに、参加者ごとの試合数の偏りも小さい。

 視覚的にわかりやすくなるよう、参加者ごとの試合数をグラフにしてみた。

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勝ち抜き方式とスイスドロー方式の試合数の違い

 

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比較用に使った、勝ち抜きトーナメントのダミーデータ

 


 勝ち抜きトーナメントでは、参加者の約半数が一回戦負け…すなわち一試合だけ戦って退場となる(※ダミーデータだと半数以上いるが、実際は半数ぐらいになることが多いと思われる)

 対して、スイスドローでは均一化されていることがわかる(※4試合の人がいるのは、参加者数が奇数の場合、毎試合一人余って不戦勝扱いになる人が出るため)

 自分が試合をしてそれを楽しむために参加する人が多いだろうから、一人当たりの試合数の平均が高ければ、その分楽しめたという人も増えるのではないかと、単純に筆者は思う。

 

 

配信視聴者の推移の違い

 また、比較の例として、今回の大会の配信視聴者数の推移と、今年の2/19と3/4にMatchingCarnivalさんで行われた勝ち抜きトーナメント大会の配信平均視聴者数の推移を表したグラフを示す。

 

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今回のスイスドロー大会(赤線の右側は決勝トーナメント)

 

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 スイスドローで行われた今回の大会では、視聴者数が常に横ばいであることがわかる。多くの参加者の出番が終わるスイスドローと決勝の境目で人数が減っているが、20人以上が最後まで見守ってくれたことがわかる。

 

 対して、面白い動きをしているのが勝ち抜きの2大会の推移だ。

 2月の大会の視聴者数は時間が経つにつれ増えているのに対し、3月は時間とともに下降している。

 その現象についての考察を以下に記載する。

2/19の大会は注目度が高かった?

 大会の種目であるGBVSの発売日は2/6だったので、発売から間もない2/19に開かれた大会は、他プレイヤーやプロゲーマーの動きを参考にしたり、GBVSの大会の雰囲気を見たりしたいという、参加はせずに観戦のみの視聴者の割合が高かったのではないかと予想できる。単純な大会参加者数も多かった。

 となれば、23時頃の決勝付近で視聴者数が増えていくのは納得である。後になればなるほど、有名プレイヤーのハイレベルな試合の比率が高くなるのだから。

 

 対して、3月に行われた大会は参加者の数も落ち着き、注目度は第一回に比べれば落ち着いていると言える。つまり、配信視聴者数に対する参加者の割合が高かったと考えられる。

 そのため、大会終盤が近づくにつれ、出番が終わったプレイヤーの比率が高くなるため、視聴者数が低下しているのではないだろうか。中には最後まで観戦する人もいるだろうが、そうでない人もいるだろう。

 

 

勝ち抜きトーナメント方式のメリット

 以上のことを踏まえ、以下に、筆者の経験上の考察を述べる。 

エンターテイメント性に優れ、観戦者が楽しみやすい

 どんなに実績のある実力者でも、一度負ければ敗退。優勝候補からすれば失敗が許されないシビアな制度だが、優勝候補に手が届かないような人にもチャンスがあるということだし、プレイヤーやキャラの相性が思わぬ結果を生み、観戦者にとっても、だれが優勝するかわからない面白さがある。

 実際、優勝候補が敗退するような番狂わせが起こると参加者・視聴者共に非常に盛り上がる

 そのため、参加者だけではなく、観戦者にも楽しんでもらう必要があるような、大規模な大会では、勝ち抜きトーナメントが適していることが多いと、筆者は思う。

 運営に規模があれば、ダブルイリミネーションにしたり、対戦台や配信台を増やしたりするなどの方法でデメリットの部分をカバーできることも多いだろう。

 

 また、終盤になるにつれて対戦者のレベルが上がるので、ハイレベルな試合が見たい観戦者にとってわかりやすい。そのことは、前述した視聴者数の推移に表れている。

 

参加者も他人の試合を観戦でき、運営・参加者が一体感を得やすい

 もともと、格闘ゲームの大会はゲームセンターなどのオフラインイベントとして始まったものだ。

 筆者も何度かそういった大会に参加したことがあるが、地元のプレイヤーが集まり、1~2台を大会進行台とし、試合中でない参加者総出で試合を見守り、応援したり、ガヤを入れたり…試合するだけでなく観戦も含めて、参加者全員が一体となって楽しんでいる、という印象があった。

 それをオンラインの場で再現する場合、他人の試合を配信で観戦できる必要があり、運営側の負担は大きくなるものの、配信台を分けるなどして、可能な限り全試合を配信で映す…という今の形になったのだろう。

 これは、全体の合計試合数が倍以上になるスイスドロー方式ではほぼ不可能だ。ロビーなどを用いて全員が同時に試合をするしかなく、観戦は不可能に近い。

 参加者全員で一つの画面を見守る一体感、これは勝ち抜きトーナメントでなければ味わえないだろう。

 

 総じて、予測不可能性エンターテイメント性、観戦者向けという点においては勝ち抜きトーナメントの方が適しているといえよう。 

 逆に、スイスドローは安定しやすい反面、最上位の一歩手前ぐらいの人がチャンスを掴みづらいかもしれない。

 

どっちがいいの?

 一言でいえば、目的と規模による、といえよう。

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勝ち抜きトーナメント・スイスドローの特徴

 運営人数が少ないなかで回したいなら、スイスドローを推したい。人数が予想以上に増えても、それに伴う運営の負担の増加が小さい。実際に開いた感想としても、手ごたえはよかった。

 逆に、運営人数・参加者・視聴者が大人数になることが予想される大規模な大会なら、やはり勝ち抜きトーナメントが定番的な意味でも適しているのではないだろうか。

 一回戦負け問題についても、運営の規模があれば、ダブルイリミネーション方式を取ることで対処できるだろう。

 

予選スイスドロー→決勝トーナメントという、いいとこどり

 そこでいっそ両方のいいところを取ってしまおうというのが、今回の大会の方式である。

 スイスドロー(以後「予選」)で全員に試合を楽しんでもらいつつ、決勝は配信することで試合が終わった人や観戦者にも楽しんでもらおうというもの。予選の間は、放送はもっぱら進行案内用として使用した。

 前項で紹介した今回の大会の視聴者推移を再度掲載する。

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今回の大会の視聴者推移


 今回の配信は限定公開なので、観戦者は少なく、予選中は参加者の25人+α。多くの人の出番が終わる赤線の右側の決勝では少し減るが、それでも20人以上が出番が終わっても最後まで見届けてくれたことになる。

 つまり、予選中は皆自分の試合に集中し、決勝トーナメントは参加者の多くが見守り観戦も含め楽しんでくれた、と言えるのではないだろうか。

 運営としても、参加者が最後まで見届けてくれて、最後にありがとう、お疲れ様と挨拶してくれれば継続のモチベーションにも繋がるというものだ。

 

 スイスドローは配信面で味気ない、と不安に感じる人には、この方法をお勧めしたい。

 

参加者の反応

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参加者25人中17人がアンケートに答えてくれ、この質問には内12名が回答してくれた。残りの5名は、格ゲー大会初参加ということだろう。

 サンプルが少ないが、割合は図のようになった。

 今回の大会はBランク以下限定ということで、そういった層の人たちは通常の勝ち抜きトーナメントでは1~2回戦で終了することが多いと思われる。そういった人たちからすれば、今回の大会は単純に試合数が多く楽しめたのではないだろうか。

 観戦者や上級者も含めたアンケートを取ればまた結果が変わってくるかもしれない。

 

 これについてはサンプルが少ないので断定的なことは言えないので、今後も傾向を見ていきたいところだ。 

 

具体的な運営の手順は?

 スイスドローの特徴はわかったけど、実際にやるときはどうするの?と思う人もいると思うので、今回の筆者の運営手順を以下に記す。

組み合わせ作成ツールの用意

 スイスドロー方式は組み合わせの決定や順位の付き方が複雑なので、自動で組み合わせと順位を算出してくれるツールが必要となる。

 例としてはsmash.ggChallongeなどがあるが、今回はChallongeを使用した。おそらく個人開催の大会ならChallongeが手軽なのでお勧めしたい。

 

対戦台の配置の決定・通知

 一斉に試合を行い、参加者に報告してもらうことになるので、一人ひとりの参加者にしっかり席の配置や報告方法を理解してもらう必要がある。

 例えば、Challongeを用いた場合、組み合わせの一つ一つに連番が振られるので、その連番に対応した対戦台をあらかじめDiscordで周知した。

f:id:tmrossofantasma:20200423153921p:plain

対戦台が一列に並んでいる配置が非常にわかりやすく助かった。

 このとき注意すべきなのがChallongeの組み合わせ番号は二試合目以降も加算されていくということだ。参加人数によっては2、3試合目で対戦台の番号を超えてしまうだろう。

 なので今回の大会では3試合目以降は、組み合わせの一番左上を1番として自分の座席を計算してほしいと案内した。参加者の皆さんはこちらが特に補助などせずともしっかり座席について各自対戦を始めてくれた。協力ありがとう。


戦績報告方法の決定・通知

 試合が終わった後は戦績を報告してもらう必要があるので、その方法も参加者に周知しておく必要がある。

 今回はDiscordに戦績報告チャンネルを用意し、そこに勝者が報告する、とした。

 この時注意したいのが、運営側の手間を考えれば、Challongeなどのツールに直接書き込んでもらいたくなるが、それは避けたほうがいいということだ。

 使用ツールが増えることで参加者の負担が増えるし、操作ミス、報告ミスなどのトラブルが起きる可能性が上がるためだ。

 Discordや配信コメントなどで文章で報告してもらい、運営がツールに打ち込む、とするのがいいだろう。その際、参加者の方が戸惑わないような配慮があるとなおいい(※参加者アンケートで、配信がyoutubeで報告がdiscordと分かれていて戸惑ったというご意見を頂いた)

 

当日の動き

 これについては、実際に運営している様子を見てもらうのが早いだろう。しかし、配信が限定公開だったこと、大会に参加したり配信に載ったりすることに慣れていない参加者が多いことを踏まえ、ここでの掲載は避けたい。

 運営の参考にしたい、などという方は筆者まで連絡してくれれば、urlをお渡しするので、気軽に連絡してほしい。

 

自分も大会運営してみようかな?という方へ

  特にスイスドローではDiscordがあると便利だと思うので、筆者が運営するDiscordサーバーで開いてみるのをお勧めしたい。

 

 現在加入者は2000名を超えているので、多くの人に参加してほしい人におすすめだ。

 中には大会用のカテゴリー・チャンネルを作ったので、自由に使ってほしい。

 もちろん、声をかけてくれれば運営にも協力するし、チャンネルの作成や告知なども、タイミングや内容など言ってくれればいくらでも協力させて頂きます。

 

 スイスドロー大会、実際やってみるとびっくりするほど負担は軽かったので、大会運用に興味ある人はぜひやってみて欲しい。

 

 以上、かなりの長文になったが、ここまで読んでくれた人本当にありがとう。

 データ提供など協力してくれたMatchingCarnivalの皆さんもありがとう。

 スイスドロー式大会、普及したらいいなぁ~。

「最強の矛」の創造主となれ-自由と創造の格闘ゲーム BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE

 突然だが、皆さんは絵を描くなり、文章を書くなりして、何かを創作するのは好きだろうか。

 何かを創造し、自分が自分である証を残したいと願うのは、人間の本能だ。誰もが、多かれ少なかれ、何かを創作し、自己を表現したいという願望を持っていると、筆者は思う。

 

 創造が人間の本能であるとするなら、「闘争」もまた、本能だろう。人と比べ合い、自分が上だと確かめたい。格闘ゲームが長く楽しまれているのも、そもそも人と戦うこと自体が楽しいからに他ならない。

 そして、闘争には、破壊が伴う。戦いと破壊を繰り返す、過酷な世界。それが、格闘ゲームなのだ。

 

 そんな、血で血を洗う格闘ゲームの世界で、異質な輝きを放っている作品がある。

 それが、表題にもなっている、「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE」だ。

 

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タイトルの垣根を超えたキャラが総勢53人集まる、クロスオーバー作品だ。アークワールドツアー2020の種目にもなっていた(感染症問題でツアー自体が中止されたが…)。

  

 2D格闘ゲームという、決して広いとは言えない枠組みのなかで、これほどまでに自由で、これほどまでに創造力を掻き立てるゲームを生み出した開発陣に、筆者はまずは精いっぱいの拍手を送りたい。

 今回の記事は、そんな、BBTAGにすっかりハマった筆者が、BBTAGの面白さ、自由さを、少しでも多くの人に伝えたいと思い、書き殴ったものだ。暇な人は読んでみてほしい。

 

他所ではパッとしなくても、この世界では誰よりも輝ける

 グズグズした主人公が、特定の分野では突然天才的能力を発揮する…アニメやドラマでよくある展開だ。だが現実はそんなに甘くはない…本当にそうだろうか?

 実はこのゲームでは、そんなフィクションみたいな話が頻繁に起こる。百聞は一見にしかず、ということでまずは次の動画を見てほしい。焦点を当ててほしいのは、前半で使用している技の有能さと後半の技の無能さだ。無能さを見てほしい。

 

youtu.be

 

 動画では、BBTAGを代表する主人公のうちの一人、ルビーローズが二種類の技を使用している。前半は「ライフルショット」、後半は「サイポッドショット」という、どちらも飛び道具だ。

 飛び道具には、主に相手の動きを抑制するという役目がある。ライフルショットは見ての通り、その速い弾速で接近しようとする相手の動きを止めている。有能。それに対して、サイポッドショットはどうだろうか?

 相手はルビーが構えたのを見てから余裕で回避し、悠々と背後を突き刺している。この技は、率直に言って、発生が遅い上に、全体動作が長すぎるのだ。この2点は飛び道具としては致命的だ。仮にガードさせたとしても状況は悪い。はっきり言って、これだけでは使い物にならない。他の格ゲーなら、間違いなく死に技だ。

 

 だが…そんな、他の格ゲーなら無能の烙印が押されること間違いなしのサイポッドショットが、この世界では、仲間とタッグを組むことで、全キャラ中屈指の高性能技へと変貌する。

 

youtu.be

 

 BBTAGでは、必要に応じて相方を呼び出して援護攻撃をさせたりできるのだが、呼び出している間に、瞬時に相方に操作をチェンジすることができる。

 このとき、それまで操作していたキャラクターは操作不能となり画面外に帰っていくのだが、技を出しながらチェンジした場合、その技の動作が終了してから帰っていく。つまり、全体動作が長い技を出しながらチェンジすれば、それだけ画面に留まり攻撃を続けてくれるのだ。 

 

 これにより、鈍くさくて使いづらい技が、相手を長く拘束して仲間が攻めるチャンスを作ってくれる技となったのだ。無能に思えたサイポッドショットは、ことBBTAGにおいては、多くのキャラが喉から手が出るくらいに欲しがる高性能な技なのだ。

 

 なんて夢のある話だろうか。

 

 例えば学校で、友達の輪にうまく入れないとか、成績が悪いとか、例えば職場で、ミスが多いとか、上司にいつも叱られるとか… 

 だからといって、ダメな人間だなんてことはない。舞台が合っていないだけ。そんな自分にもどこかに輝ける場所があるはずだと、サイポッドショットが身を以て教えてくれているのだ。

 

自由とは、誰にでもチャンスがあるということ

 何もサイポッドショットだけではない。アッと驚くような使い方で、地味だったキャラや技が突然ポテンシャルを発揮することが、このゲームでは珍しくない。

 例えば、相方が演出の長い投げ技を決めている間に、設置技を大量に設置したり、自分を強化したり…。飛び蹴りを放つ対空アシストをあえてスカして相手を飛び越え、相方との挟み撃ちの状況を作ったり…

 合計50人を超えるキャラから2人を選ぶのだから、その組み合わせは1000以上。発売から二年が経とうとしている今でも、どこに可能性が転がっているかわからない

 

 2020年1月に幕張メッセで行われた全国大会 EVOJAPANのトップ8では、GRPT/BE/Dora 選手が電光戦車と里中千枝のタッグで勝利を納め、会場を大いに盛り上げたのが記憶に新しい。

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千枝のアシストをガードさせている間に、電光戦車のガード不能攻撃を確定させるというもの。会場は笑いと歓声で大いに盛り上がった。

 

 電光戦車は、いわゆるネタキャラ枠で、一般的に弱いとされているキャラだ。そんな戦車が画面狭しと大暴れする様は、異様そのものであったし、その輝きは優勝したYG | kubo選手のセトに負けず劣らずであった。

 そして同大会のトップ8では、雪泉を除いてキャラ被りがほとんどなかった。どんなキャラにも、活躍する余地がある。その事実がBBTAGの自由さを象徴していると言えよう。

 

自分だけの「最強の矛」を創造する

 合計四人のキャラクターが画面内を飛び回る騒がしさや、既存の格ゲーと比べても強すぎる連係がしょっちゅう飛び交うことから、このゲームに難色を示す格闘ゲーマーも少なくはない。

 だが、そういったハチャメチャな画面の背景には、膨大な試行錯誤とトレモ時間を注いできたプレイヤー達の血と汗の結晶があり、それらは、それぞれのプレイヤー達による創作物であるともいえる

 だから、やってる側からすれば、自分の連携が強すぎれば強すぎるほど、楽しくなってくるのだ。

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RWBYの主人公であるルビー・ローズは武器オタクで有名である。キャラにもプレイヤーにも十人十色の武器があるこのゲームにぴったりかもしれない。

 

 前述したとおり、戦いとは、お互いを破壊しあう行為だ。だが、その戦いで用いられる武器は、人の手で創造されたものに他ならない。

 どうすればこの技を強く使えるのか。どうすれば大好きなこのキャラを輝かせられるのか。

 そうして頭を凝らして、自分だけの「最強の矛」を創造する。それこそが、このゲームの醍醐味であると、筆者は思う。(もちろん、他人が開発した強力なチームをコピーしてプレイしている人もいるし、それも格闘ゲームの遊び方としては、ごもっともなスタイルである) 

 

自由と創造、そして

  2D格闘ゲームの限られた画面の中に、これほどまでに可能性が詰まったゲームを、筆者は他に知らない。新たな発見を求め、トレーニングモードに没頭してしまう底なしの魅力がこのゲームにはある。

 そもそも、格ゲーに馴染み深い「トレーニングモード」という名称はこのゲームにおいては相応しくないなのではないか。「クリエイティングモード」「コンストラクティングモード」という名称こそが相応しいのではないかとすら思えてくるレベルだ。 

 もしも、何かを作ったり、それを人に見せたりするのが好きな人が居たら、是非このゲームを遊んでみてほしい。そうでなくても、一味違った格ゲーがしたいという人にも、是非遊んでほしい。

 

 そして、自分だけのオリジナルチーム、オリジナル連係をガンガン構築してほしいし、そうして創造したタッグを、桐条美鶴クー・ドロア真田明彦コークスクリュー里中千枝チャージゴッドハンド粉々に破壊されて絶望を味わってほしい。

 

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「マッスグダ!!!」「ドロアダ!!」

 だが、めげないでほしい。創造破壊表裏一体だ。破壊されたなら、それを超える何かを創造すればいいのだ。理不尽な破壊を超える創造を目指す、それが、BBTAGの戦いなのだ。もしくは彼らを使えば最強の武器が手っ取り早くできる。

 そんな無限に続く戦いに、この長い記事をここまで読んでくれた貴方も、是非、加わってみて欲しい。

 

 今は何やらセール中で、本体だけなら1000円で買えるらしいのでお勧めである。20キャラほどが使えるぞ。気に入ったら追加キャラDLCも買うといいだろう(※追記:セールはすでに終了している模様)

 また、プレイヤー層がめっちゃいい人ばかりなのできっと楽しく遊べるはずだ。最近だと、ニックさんや、げどーさんが、対戦会や配信など頑張ってくれているので、彼らにコンタクトを取れば間違いはないだろう。

 

 BBTAGの魅力については、もっといくらでも語れるのだが、さすがに長くなりすぎたのでこの辺にしよう。

 ここまで読んでくれた方、本当にありがとう。

 では、オンラインロビーでまた会いましょう。

GBVS ゼタを使って一晩でSランクに到達した戦法

 さて、格闘ゲーム界期待の星、GBVSが発売されてちょうど一日が経とうという時だが、皆さんいかがお過ごしだろうか。

 トレモに勤しむ人や、一人用のRPGモードで遊んでいる人、さっそくネット対戦に潜り込む猛者などそれぞれの楽しみ方をしていることと思うが、

 筆者はというとトレモとネット対戦をひたすら往復(時々RPGモード)という、いかにもな格ゲーマーといったところ。

 

 で、一日ほぼGBVS漬けだったわけだが、つい先ほどランクマッチでSランクに到達した。上がどれくらいあるのかはわからないが一日でこれならまあ結構頑張ったほうだろう。

 ここで紹介するのは、筆者がゼタでSランクに到達するまでにひたすら振り回した連係とその使い方だ。それぞれの細かい技性能やコンボは、ゴジ〇インなど他情報源を参考にしてほしい。

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プレイヤーカードの編集機能も充実している。

 

 さて、前置きはこの辺にして本題に入ろう。筆者が勝つために振り回した行動は主に以下の四つだ。

 

1.(近距離)適当な通常技>Lラプソディー>H派生or遅らせH派生orM派生

2.(遠中距離)跳びこみJMorJUor空中EXアルベスの槍

3.(遠距離)LインフィニットワンダースorMインフィニットワンダース

4.(とにかく勝ちたい時)2U

 

以下、それぞれについて詳しく説明しよう。

 

1.(近距離)適当な通常技>Lラプソディー>H派生or遅らせH派生orM派生

 

 Lラプソディーは上中段に対応した当身技だ。当身は普通防御的な使い方をするが、ラプソディーは任意のタイミングで派生でき、その派生できるタイミングが速いため、攻めに使うこともできる。そして、今日一日筆者の攻めをひたすら支え続けてくれたとても頼りになる技である。

 特に、H派生の性能がえぐい。とにかくこれがゼタの最強ムーブだと思う。

 

 AラプソディーのH派生は、相手の頭上に飛び上がる技だが、頂点付近からはJ攻撃が出せるようになる。そして、着地硬直がないので、J攻撃をガードさせた後すぐに動ける。

 つまり、AラプソディーH派生からのJ攻撃をガードさせるということは、跳び込みをガードさせたのと同義である。格ゲーにおいて跳び込みをガードさせたときというのは、超有利状況だ。それを簡単に作りだすことができる。テクニカル入力を使えば、クールダウンがほぼないので、使い放題である。

www.youtube.com

こうなる。

 しかし弱点はもちろんある。H派生の上昇部分は、相手の最速の暴れなどで割れてしまう。それを理解している相手には通用しない……などということはない

 この派生前のAラプソディーは当身技だ。当身を構えている間は相手の上中段の攻撃を受け止めることができる。つまり、暴れてくる相手には、敢えて派生を遅らせることで当身で暴れを受け止め、派生攻撃をヒットさせられる。

www.youtube.com

 

 この二つを使い分けるだけでそれはもうめちゃくちゃ楽しく攻められる。ゼタを楽しみたければこのAラプソディーH派生を振り回そう。

 ちなみにAラプソディーは下段技には対応していないので、下段技で暴れられると負けるが、そういう相手にはオーバーヘッドアタックも混ぜよう。chすればリターンがめっちゃ高い。

www.youtube.com

 

 ちなみに気分でB派生も混ぜてみよう。chすればプロミネンスダイブが繋がってこれまたリターンが高い。

 Aラプソディーについてはこんなところだ。この技、本当に強い。最強。マジで。

 そのうち立ち回りでも気分で振り回してみようかなとか思ってる。

 

2.(遠中距離)跳びこみJMorJUor空中EXアルベスの槍

 このゲームは跳びが全体的にゆっくりなので安易な跳びは簡単に対空で落とされてしまう。そんなときに空中(EX)アルベスの槍の出番である。空中で軌道を変え、相手の対空のタイミングをずらすことが出来る。

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 この動画では、跳びこみJMと空中アルベスの槍を記憶させてランダム再生している。1P側は相手の跳び込みJMにタイミングを合わせて対空を出していて、JMが出た時には落とせているが、アルベスの槍の時には潰されてしまっている。

 ちなみにアルベスの槍は派生で軌道を変えられるので、後ろに派生することでガード時のリスクを抑えられる。

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 この技を打ち分けて、相手に対空を躊躇わせることができれば、試合のペースはこちらのものだろう。

 

3.(遠距離)LインフィニットワンダースorMインフィニットワンダース

 ゼタ、実は遠距離戦も最強である。

 ゼタを少し使った、あるいはゼタと対戦した人なら、このインフィニットワンダースが作中最強クラスの飛び道具であることに異論はないだろう。

 この技の最強たる所以は、一瞬で端に到達することで相手の飛び道具に一方的に打ち勝てること…だけではない。

 B版はボタンをおしっぱなしにすることで発射タイミングを任意でずらすことができる。これによって、モーションを見てからタイミングを合わせて避けることが非常に困難となる。

 

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 動画では、2P側はA版、B版、B版(ボタンホールド)の三種類のインフィニットワースを記憶させ、ランダムに再生している。1P側はタイミングを合わせて避けようとしている。

 A版が来た時はなんとか避けられるが、B版は回避の硬直にchして、距離を離されダウンまで奪われる。避けても少し近づけるだけなのにヒットしたときがこれでは弾を移動回避で避けて近づくことはリスクリターンが釣り合わない…。

 それを理解した相手は大体上から飛んでくるようになる。対空しよう。

 

4.(とにかく勝ちたい時)2U

 当たれば勝ち、外せば死。そんな技だ。

 ゼタの足払いは二段技なので、ヒットしたことを確認してから必殺技に繋ぐことが容易だ。そしてそれは奥義・解放奥義も例外ではない。そしてリターンが爆高い。

 ゲージを100%持っているが、体力的に不利な状況…相手は格上…でもどうしても勝ちたい……恥も外聞も捨て、とにかく目先の勝利が欲しい…そういう時は、しゃがみながらUボタンを押そう!!!!!当たれば勝ちだ!!

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体力の6割が消し飛ぶ。

ちなみに二段技の都合上、全体動作がかなり長いので、相手が飛んでいたら自分が死ぬ。

 

さて、筆者は上記の四つを使いまくることで一晩でSランクに到達した。

勝てなくて苦しんでいるゼタ使いの方が居たら、少しでも参考になったら幸いだ。

 

対策されたらどうなるかはわからないがそれはそのときに考えよう。

以上だ。ここまで読んでくれてありがとう。

 

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ちなみに、筆者が設立した、交流・攻略を目的としたDiscordサーバーがある。

現在参加者は既に1000人近くいて、情報交換も活発に行われている。

よかったら加入してね。



初心者が勝てるようになるまでの最短距離  まず覚えるべきは暴力的に強力な戦法

 突然だが、皆さんは週間ファミ通で連載されている、

-女流棋士香川愛生香車のうら- というコラムをご存知だろうか。

 将棋の美人女流棋士であり、ゲーム好きとして知られる香川愛生さんが様々なゲームをプレイした経験や感想などを、将棋と絡めて書き綴っていくコラムだ。

 

 先日、筆者がとある用事の暇つぶしに電子媒体のファミ通(2019年5月23日号)を読んで居た所、このコラムと出会い、そこで語られた内容に、とても大きな共感を得たので、この記事を書き始めた次第だ。

 

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ファミ通 2019年5月23日号

 その回では、香川さんがマジック・ザ・ギャザリングというカードゲームを初めてプレイしたということについて書かれていた。そこで香川さんはこのように綴っていた。

 

 「自分の性格的には、コントロールデッキという時間をかけて手の内を読みあうデッキが好きな傾向にあるが、早く上達するには、アグロのような相手の準備が整う前に勝負を決める速攻デッキが向いているのではないか。」

 「一つ目の理由は、決着までの時間が短いので連戦しやすく経験値が溜めやすいこと」

 「二つ目は、単純なデッキが多く、扱いやすいこと」

 「そして三つ目は、扱いやすい故に、ルールの全てを理解せずともプレイできること」

 「将棋でも初心者には中飛車棒銀といった、時には暴力的とも思える戦い方から着手してもらい、最速勝利のスピード感を味わい、”全ての駒を活用する”という高難度のステップを後ろ倒しにする。

 

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 初心者が新しいゲームを遊ぶ上でまず課題となること、それは「ルールを理解すること」だ。デジタルゲームならば、「システムを理解すること」とも言い換えられる。

 例えば格闘ゲームなら、どうすれば相手にダメージを与えられるのか。各種ゲージにはどういった意味や使い道があって、攻撃及び防御システムには何があるのか…。そのあとにはコンボの習得なども待っている。まずこれらを覚えることからして難しい。ただ覚えるだけなら時間をかければなんとかなるが、時間をかけるには続けて貰わなければならないし、続けるには楽しんで貰わなければならない。「ゲームの楽しさを感じながら覚える」となれば、本人だけでなく教える側にとっても難しい。

 

 敷居が高いと言われ、一時期は新規が減り衰退したと言われてきた格闘ゲームの先駆者たちは、この問題に大いに悩んできたはずだ。新規のプレイヤーに対して、どうすれば楽しんで貰える?どうすれば続けて貰える?そのヒントが、香川さんが綴ったコラムにあったと、筆者は強く感じた。

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一時期は衰退したと言われた格闘ゲームだが、近年はいわゆるEスポーツの花形として盛り上がりを見せている。

 

 格闘ゲーム(及び多くの対戦ゲーム)には楽しんだり奥深さを出すためのシステムが多数存在するが、そのすべてを理解する必要はない。まずは勝とう。細かいことを覚えるのはそれからだ。超基本的なルールを覚えた初心者が次に覚えるべきことは、暴力的に強力な戦法と、それを使った勝ち方なのだ。そのあとで、細かいシステムやキャラの違いに着手しよう。

 

 ここに、好評発売中のブレイブルークロスタッグバトル(通称BBTAG)という格闘ゲームを例に説明してみよう。

 BBTAGは、二人のキャラを選んで戦う、2vs2のタッグバトルだ。表に出て戦うキャラは一人ずつだが、もう一人のキャラとはいつでも交代したり、好きな時に呼び出して援護攻撃を行わせることができる。そして相手が操作する2キャラの体力を0にしたプレイヤーの勝ちだ。

 超基本となるルールはこんなところだ。では本題の、暴力的に強力な戦法のうちの一つを紹介しよう。

 それは、ルビー&ジンのタッグによる、「バズソーブラスト+氷翔撃アシスト」だ。

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 おそらく、ある程度格闘ゲームを嗜む人の中には、一目見ただけでこの連携の異常な強さに気づく人もいるだろう。実際、筆者が他格闘ゲームの上級者にこの連携を真っ先に教えた所、「これはヤバい!」と笑っていた。筆者自身も、発売初期にこの連携に気付き、これを使ってランキングのポイントを荒稼ぎしたものだ(笑)。

 ルビーのバズソーブラスト(上空から回転しながら襲い掛かる技)はとても攻撃範囲が広く、相手を巻き込みやすいのが強みだ。ただし、ヒットしなかった場合は隙がある。そして、ジンの氷翔撃アシスト(大きな氷の飛び道具を射出する技)は、相手を長時間固めることが出来るのが強みだが、発生が遅いのが弱みだ。

 上記の連携は、範囲の広いバズソーブラストで相手を巻き込みつつ、隙をジンの氷翔撃でフォロー、氷翔撃が相手を固めている間にルビーで走り寄って攻めを展開する、というものだ。要するに、離れた位置から強制的に相手を固めて攻めを展開する、暴力的とも言える強さを持つ戦法だ。BBTAGを新たに始める初心者にはまず、この動きをひたすら相手に押し付けて勝ち方を覚えることを、筆者はお勧めする。もちろん、対処法はあるが、それを覚えるのはずっと後のことでいい。

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美鶴&ユズリハの、クー・ドロア+咲アシストも、非常に強力な連携だ。

 

 BBTAGに限らず、多くの対戦ゲームには、こういった「相手の動きに関係なく押し付けることで勝利する」戦法が存在するはずだ。当然、上級者からすれば、それだけじゃなくちゃんと相手の動きを見たほうが楽しい、読み合いを重視すべきだ、まずはシステムを覚えろ、という意見もあるだろう。しかしそれは非常に難易度が高いことだ。まずは暴力的なほどに強力な戦法を覚え、勝利の味を知るのがいいだろう。

 上記のコラムでは、香川さんは最後にこう綴っている。

 

「まずは身の丈に合った進めかたをしてみようと考えています。早く経験を積み重ねて、いまは見えていない世界が見えるようになりたいものです。」

 

 プレイヤーが存在し続ける限り、対戦ゲームの底は無限に奥深くなっていく。最初はただ簡単で底が浅いゲームに思えても、やり続ければ最初とは違った世界が見えてくるというものだ。

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ブレイブルーシリーズに登場するアズラエル。「これが暴力だ」が口癖。

 

 ちなみに筆者はこのコラムに感銘を受けたので、dマガジンというドコモのプランを申し込んでファミ通電子書籍で購読することに決めた。次の香川さんのコラムを読むのが今からもう楽しみだ。この記事を読んで興味を持った人がいれば、そのコラムを是非読んでみてほしいし、もしよかったら、BBTAGや格闘ゲームにも興味を持って、遊んでみてほしい。

 その際は、筆者がおすすめした戦法を試してみたら、早いうちに勝利の味を知れて楽しめるかもしれないぞ。

SEKIROは本当に難しいのか?この作品がゲームにもたらす革新。

 SEKIROは本当に難しいのか?

 この問いについての筆者の答えは、「ぶっちゃけ言うほど難しくないと思う」だ。

 

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 ふざけんな難しいに決まってるだろ、クリアできない人の気持ちを考えろ、と物申したい人もいるだろうけど、とりあえず記事を最後まで読んでほしい。あと、あくまで「言うほど難しくない」であって、難しいのは間違いないが、実際以上にそう感じてしまっているのではないか、そしてそれには理由があるのではないか、と言いたいのだ。

 そして筆者もまた、幾度となく死を向かえ、多くのNPCを病に苦しませた一人だ。さすがに難しすぎるのではないか、初めはそう思っていた。しかしゲームを進めるにつれてその感じ方に疑問が出てきたのだ。

 

 まずは、「なぜ多くの人がこのゲームは極めて難しいと感じるのか」ということについて筆者の意見を述べたいのだが、その前に、よかったら思い浮かべてみてほしいことがある。今までに読者の方自身が遊んできたゲームのことだ(1人用に限る)。たとえば3Dアクション、あるいは2Dアクション…シューティングゲームRPG……。

 そして思い出してみてほしい。それらのゲームでは、どうやって強敵(ボス)に打ち勝ってきたか。強敵に勝利するためのセオリーはなんだったか。

 

 筆者が思うに、これまでのゲームの多くに共通した、強敵に勝利するためのセオリーとは、「パターンの理解と、防御(回避含む)の質の向上」だった。

 ボスはこちらの攻撃はものともせず向かってくるので、とにかく敵の攻撃を耐え(避け)、必要に応じて回復し、限られたチャンスの中で攻撃を当て、また防御(回避)や回復に戻る。これをパターン化し、ひたすらに相手のライフが0になるまで繰り返した。ダークソウルでは取りあえず盾を構えて相手の周りを旋回し、ロックマンでは壁蹴りで様子を見て、ドラクエではスクルトフバーハをかけ、危険な攻撃の時には防御を固め、攻撃のチャンスを待った。

 つまり、ボス戦では、攻撃以上に防御の質が問われてきたのだ。なぜならボスは圧倒的体力とパワーによって、ただただ自分のペースで、前述した通りこちらの攻撃を無視して攻めてくるからだ。

 

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 人間同士の勝負事でよく用いられる言葉として、「先手必勝」「攻撃は最大の防御」「防戦一方」などという言葉がある。往々にして、先に攻撃したほうが有利なのだ。なぜなら、攻め手が取れる選択肢の方が、受け手が取れる選択肢に比べて圧倒的に多いからだ。攻め手が、いつどこから攻撃するか、それとも引くか、など自由に選べるのに対し、受け手はせいぜい、合わせてガードするか避けるかなど、限られた選択肢の中から次の手を選ばされることになる。こちらから攻め立て、相手に対応を求めることが、勝利への近道なのだ。

 だが、これは生身の人間同士の駆け引きの話だ。CPUと戦う、従来のゲームの多くでは、この理論は通用しなかった。防御・回避の質を高め、その合間を縫って攻撃するのがポピュラーな戦術だったと、筆者は思う。

 

 では、SEKIROはどうか。SEKIROでももちろん防御・回避、回復は捨て置けない要素だ。しかし、SEKIROの敵キャラは、人型であれば、基本的にはプレイヤーの攻撃を無視しない。こちらが刀で斬りかかれば、刀でその攻撃を防ぐ。時にはガードするために攻撃モーションの途中でそれを中断することすらある。こちらばかりが受け身になるのではなく、敵もまた、こちらの攻撃を防ぎ、弾き、反撃に転じようとしてくる。もちろんこちらもそれを弾き反撃できる。こちらを無視して攻めるのではなく、ただただ待つのでもなく、いかに攻めに転じるかという駆け引きを仕掛けてくる。さながら、生身の人間のようである。

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 さて、ここで最初に提示した問題に話題を戻そう。なぜ多くの人がSEKIROは極めて難しいと感じるのか。それは、SEKIROの戦闘システムが、今までのアクションゲームが培ったマンネリともいえる受け身になる戦いのセオリー、もとい、防御(回避)の質ばかりを問うゲーム性を、見事に打ち破っているからだ。そしてプレイヤーにもまた、それまでの殻を破りSEKIROについていくことが求められる。だから難しいのだ。新しく、未知だから難しく感じるのだ。

 前述した、あたかも意思を持った人間同士の戦いのような、攻防の駆け引き、信念を持った刀と刀のぶつかり合いこそが、このゲームの真骨頂なのだ。

 そして、このゲームのシステムはそれを推奨しているし、そのシステムを理解し使いこなしたとき、ただ難しいだけではない、これまでにはない新しい世界を、SEKIROは見せてくれる。

 

 SEKIROには、HPの他に、体幹というシステムがある。キャラクターが自らの体勢を保つ力(?)のようなものをゲージ化したものだ。攻撃を受けたりガードすることでゲージは溜まっていき、MAXになった時、体勢を崩してしまい、大ダメージのピンチとなる。逆にプレイヤーが敵の体勢を崩したなら、忍殺のチャンスとなり、HPを丸ごと奪うことができる。何もしなければ、時間経過と共にゲージは回復する。ポイントは、ガードしてもゲージが溜まるということだ。例え防がれようとも、攻めることに大きな意味がある。体幹ゲージを溜めさえすれば、一撃で葬ることができるのだから。

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 従来のゲームでも、こちらの攻撃をガードする敵は見られた。往々にしてガードさせても特にメリットがないので、こちらが隙を晒さないよう攻撃の手は控えめにして、相手が攻撃に転じて隙を晒すのを待った。SEKIROにおいてこの戦法は、勝てなくはないが、相手の体幹ゲージの回復を許し、戦いを長期化させ、集中力の持続を困難にし、最終的にプレイヤーを死に導こうとする。

 

 また、防御方法についても、弾きという、ガード硬直を短くし、相手の体幹を上昇させるシステムがある。相手の攻撃に合わせてタイミングよくガードを入力することで、ガキン!と心地いい音と共に相手の攻撃を弾き、防御しているにも関わらず相手の体幹は上昇する。さらに、場合によっては相手が軽く仰け反るので、すぐに反撃して攻めることが可能となり、HPと体幹を削り続けることが可能となる。いわば、攻めに繋がる防御システムだ。

 この弾きは、こちらが攻めている時には相手も使用し、反撃してくる。そしてそれに対してすぐに弾き返すこともでき、この時、ガキン!ガキン!ガキン!とお互いに刃を弾き合い、さながら時代劇のチャンバラのようなワンシーンが演出され、戦いの高揚感を与えてくれる。

 

(序盤のボス戦動画)

 

 攻め立て、弾かせ、相手の攻撃を弾こうとし続けるうちに、筆者はある一つのことに気付いた。

 例えば、生身の人間との勝負において、相手が自由に選択した行動に対して、こちらが最適な防御や反撃を毎回することは困難だ。しかし、何らかの方法でその選択肢を狭めることができれば、対応は可能になる。その最たる例は、先ほど述べたような、こちらから攻めるということだ。こちらから攻め立てれば、相手の行動は限られ、制しやすくなる。相手の動きが読めていれば、どんなに攻撃力が高くてもさほど関係はない。

 では、SEKIROにおいてはどうか。なんと、CPUと闘うSEKIROにおいても、全く同じことが言えるのだ。こちらが攻め立て、ガードさせていれば、いずれ相手はそれを弾いて、反撃してくる。そして、弾いた後に相手がどういう行動に出るか。そこに注意してよく見てみると、一つの大きな事実に気付くはずだ。そしてこれが、このゲームを攻略する上での、非常に大きなヒントとなる。

 従来の多くのゲームが防御を起点として攻略するゲームだったならば、SEKIROは攻撃を起点として攻略するゲームなのだと、筆者は感じた。もちろん、只管逃げ回って攻略することも不可能ではないし、強制するものでもないので、好きなように遊べばいいのは間違いないが。

 

 こういった駆け引きを楽しめるのは、主に人型の相手である。SEKIROに登場する敵の中には、暴れ狂う赤鬼や、猪突猛進な火牛のような、人ならざる者たちも居る。

 そういった敵には、当然ながら人間同士のような駆け引きは通用しない。ひたすら相手のペースで迫ってくるので、それをいかにいなすかという前述したような受け身の戦いが求められる。こういった敵は、ゲームシステムとマッチしていないという意見もあるが、よく言えば長年培われた従来のゲーム性を、捨て置くことなく取り入れているとも言える。

 また、こういった類の敵には、手早く倒すための弱点がたいてい用意されていて、ゲーム中でヒントを得ることができる。人ならざる者にそもそも正攻法で戦う必要はない、とSEKIROは言っているのだ。

 

 最初のうちは当然、ゲームシステムに対する理解が追いつかず、何度も倒されてしまうことだろう。システムのみならず、人、獣、怨霊と、個性あふれる敵キャラが多いのでなおさらだ。筆者含む歴戦のアクションゲーマーたちも、難しすぎると唸りを上げた。実際、このゲームの難易度は高い。

 しかしそれは前述した通り、今までの常識を覆す、革新的なゲームシステムだからこそ、実際以上にそう思ってしまう面もあると筆者は思う。また、その独特のシステムをプレイヤーに学ばせてくれるボスが、要所に配置されており、段階を踏んで理解できるように設計されているため、高難度と言えど、ある意味では親切な作りだと言える。各所の強敵は、プレイヤーに学習を求め、とてつもない達成感を与えてくれる。そして、最後に待ち受けるラスボスが、その総決算をしてくれることだろう。

 

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 今までの概念を壊し新たな領域へ進むことはとても難しい。しかしそれを果たした時、SEKIROはプレイヤーに全く新しい世界を見せてくれる。それに気づいたとき、誇張でもなんでもなく、SEKIROはアクションゲームの革命と言ってもいい、素晴らしい作品だと、筆者は確信した。そして、多くの人にこのゲームのすばらしさ、楽しさを味わってほしいと切に願うし、最後までやり抜いて、筆者と一緒にSEKIROの楽しさについて語り合ってほしい。