「最強の矛」の創造主となれ-自由と創造の格闘ゲーム BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE

 突然だが、皆さんは絵を描くなり、文章を書くなりして、何かを創作するのは好きだろうか。

 何かを創造し、自分が自分である証を残したいと願うのは、人間の本能だ。誰もが、多かれ少なかれ、何かを創作し、自己を表現したいという願望を持っていると、筆者は思う。

 

 創造が人間の本能であるとするなら、「闘争」もまた、本能だろう。人と比べ合い、自分が上だと確かめたい。格闘ゲームが長く楽しまれているのも、そもそも人と戦うこと自体が楽しいからに他ならない。

 そして、闘争には、破壊が伴う。戦いと破壊を繰り返す、過酷な世界。それが、格闘ゲームなのだ。

 

 そんな、血で血を洗う格闘ゲームの世界で、異質な輝きを放っている作品がある。

 それが、表題にもなっている、「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE」だ。

 

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タイトルの垣根を超えたキャラが総勢53人集まる、クロスオーバー作品だ。アークワールドツアー2020の種目にもなっていた(感染症問題でツアー自体が中止されたが…)。

  

 2D格闘ゲームという、決して広いとは言えない枠組みのなかで、これほどまでに自由で、これほどまでに創造力を掻き立てるゲームを生み出した開発陣に、筆者はまずは精いっぱいの拍手を送りたい。

 今回の記事は、そんな、BBTAGにすっかりハマった筆者が、BBTAGの面白さ、自由さを、少しでも多くの人に伝えたいと思い、書き殴ったものだ。暇な人は読んでみてほしい。

 

他所ではパッとしなくても、この世界では誰よりも輝ける

 グズグズした主人公が、特定の分野では突然天才的能力を発揮する…アニメやドラマでよくある展開だ。だが現実はそんなに甘くはない…本当にそうだろうか?

 実はこのゲームでは、そんなフィクションみたいな話が頻繁に起こる。百聞は一見にしかず、ということでまずは次の動画を見てほしい。焦点を当ててほしいのは、前半で使用している技の有能さと後半の技の無能さだ。無能さを見てほしい。

 

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 動画では、BBTAGを代表する主人公のうちの一人、ルビーローズが二種類の技を使用している。前半は「ライフルショット」、後半は「サイポッドショット」という、どちらも飛び道具だ。

 飛び道具には、主に相手の動きを抑制するという役目がある。ライフルショットは見ての通り、その速い弾速で接近しようとする相手の動きを止めている。有能。それに対して、サイポッドショットはどうだろうか?

 相手はルビーが構えたのを見てから余裕で回避し、悠々と背後を突き刺している。この技は、率直に言って、発生が遅い上に、全体動作が長すぎるのだ。この2点は飛び道具としては致命的だ。仮にガードさせたとしても状況は悪い。はっきり言って、これだけでは使い物にならない。他の格ゲーなら、間違いなく死に技だ。

 

 だが…そんな、他の格ゲーなら無能の烙印が押されること間違いなしのサイポッドショットが、この世界では、仲間とタッグを組むことで、全キャラ中屈指の高性能技へと変貌する。

 

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 BBTAGでは、必要に応じて相方を呼び出して援護攻撃をさせたりできるのだが、呼び出している間に、瞬時に相方に操作をチェンジすることができる。

 このとき、それまで操作していたキャラクターは操作不能となり画面外に帰っていくのだが、技を出しながらチェンジした場合、その技の動作が終了してから帰っていく。つまり、全体動作が長い技を出しながらチェンジすれば、それだけ画面に留まり攻撃を続けてくれるのだ。 

 

 これにより、鈍くさくて使いづらい技が、相手を長く拘束して仲間が攻めるチャンスを作ってくれる技となったのだ。無能に思えたサイポッドショットは、ことBBTAGにおいては、多くのキャラが喉から手が出るくらいに欲しがる高性能な技なのだ。

 

 なんて夢のある話だろうか。

 

 例えば学校で、友達の輪にうまく入れないとか、成績が悪いとか、例えば職場で、ミスが多いとか、上司にいつも叱られるとか… 

 だからといって、ダメな人間だなんてことはない。舞台が合っていないだけ。そんな自分にもどこかに輝ける場所があるはずだと、サイポッドショットが身を以て教えてくれているのだ。

 

自由とは、誰にでもチャンスがあるということ

 何もサイポッドショットだけではない。アッと驚くような使い方で、地味だったキャラや技が突然ポテンシャルを発揮することが、このゲームでは珍しくない。

 例えば、相方が演出の長い投げ技を決めている間に、設置技を大量に設置したり、自分を強化したり…。飛び蹴りを放つ対空アシストをあえてスカして相手を飛び越え、相方との挟み撃ちの状況を作ったり…

 合計50人を超えるキャラから2人を選ぶのだから、その組み合わせは1000以上。発売から二年が経とうとしている今でも、どこに可能性が転がっているかわからない

 

 2020年1月に幕張メッセで行われた全国大会 EVOJAPANのトップ8では、GRPT/BE/Dora 選手が電光戦車と里中千枝のタッグで勝利を納め、会場を大いに盛り上げたのが記憶に新しい。

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千枝のアシストをガードさせている間に、電光戦車のガード不能攻撃を確定させるというもの。会場は笑いと歓声で大いに盛り上がった。

 

 電光戦車は、いわゆるネタキャラ枠で、一般的に弱いとされているキャラだ。そんな戦車が画面狭しと大暴れする様は、異様そのものであったし、その輝きは優勝したYG | kubo選手のセトに負けず劣らずであった。

 そして同大会のトップ8では、雪泉を除いてキャラ被りがほとんどなかった。どんなキャラにも、活躍する余地がある。その事実がBBTAGの自由さを象徴していると言えよう。

 

自分だけの「最強の矛」を創造する

 合計四人のキャラクターが画面内を飛び回る騒がしさや、既存の格ゲーと比べても強すぎる連係がしょっちゅう飛び交うことから、このゲームに難色を示す格闘ゲーマーも少なくはない。

 だが、そういったハチャメチャな画面の背景には、膨大な試行錯誤とトレモ時間を注いできたプレイヤー達の血と汗の結晶があり、それらは、それぞれのプレイヤー達による創作物であるともいえる

 だから、やってる側からすれば、自分の連携が強すぎれば強すぎるほど、楽しくなってくるのだ。

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RWBYの主人公であるルビー・ローズは武器オタクで有名である。キャラにもプレイヤーにも十人十色の武器があるこのゲームにぴったりかもしれない。

 

 前述したとおり、戦いとは、お互いを破壊しあう行為だ。だが、その戦いで用いられる武器は、人の手で創造されたものに他ならない。

 どうすればこの技を強く使えるのか。どうすれば大好きなこのキャラを輝かせられるのか。

 そうして頭を凝らして、自分だけの「最強の矛」を創造する。それこそが、このゲームの醍醐味であると、筆者は思う。(もちろん、他人が開発した強力なチームをコピーしてプレイしている人もいるし、それも格闘ゲームの遊び方としては、ごもっともなスタイルである) 

 

自由と創造、そして

  2D格闘ゲームの限られた画面の中に、これほどまでに可能性が詰まったゲームを、筆者は他に知らない。新たな発見を求め、トレーニングモードに没頭してしまう底なしの魅力がこのゲームにはある。

 そもそも、格ゲーに馴染み深い「トレーニングモード」という名称はこのゲームにおいては相応しくないなのではないか。「クリエイティングモード」「コンストラクティングモード」という名称こそが相応しいのではないかとすら思えてくるレベルだ。 

 もしも、何かを作ったり、それを人に見せたりするのが好きな人が居たら、是非このゲームを遊んでみてほしい。そうでなくても、一味違った格ゲーがしたいという人にも、是非遊んでほしい。

 

 そして、自分だけのオリジナルチーム、オリジナル連係をガンガン構築してほしいし、そうして創造したタッグを、桐条美鶴クー・ドロア真田明彦コークスクリュー里中千枝チャージゴッドハンド粉々に破壊されて絶望を味わってほしい。

 

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「マッスグダ!!!」「ドロアダ!!」

 だが、めげないでほしい。創造破壊表裏一体だ。破壊されたなら、それを超える何かを創造すればいいのだ。理不尽な破壊を超える創造を目指す、それが、BBTAGの戦いなのだ。もしくは彼らを使えば最強の武器が手っ取り早くできる。

 そんな無限に続く戦いに、この長い記事をここまで読んでくれた貴方も、是非、加わってみて欲しい。

 

 今は何やらセール中で、本体だけなら1000円で買えるらしいのでお勧めである。20キャラほどが使えるぞ。気に入ったら追加キャラDLCも買うといいだろう(※追記:セールはすでに終了している模様)

 また、プレイヤー層がめっちゃいい人ばかりなのできっと楽しく遊べるはずだ。最近だと、ニックさんや、げどーさんが、対戦会や配信など頑張ってくれているので、彼らにコンタクトを取れば間違いはないだろう。

 

 BBTAGの魅力については、もっといくらでも語れるのだが、さすがに長くなりすぎたのでこの辺にしよう。

 ここまで読んでくれた方、本当にありがとう。

 では、オンラインロビーでまた会いましょう。